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猫も杓子も。

わかりあえない、なんて知ってるわ。

ダブリンの夢。

book
 
1. アイルランド貧民の子が両親や国の重荷となるを防ぎ、公共の益となるためのささやかな提案(A Modest Proposal:For Preventing the Children of poor People in Ireland, from being a Burden to their Parents or Country;and for making them beneficial to the Publick)/ジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift
 
 
 
作者は、ジョナサン・スウィフト(1667-1745)。
 
イングランド系移民の子としてダブリンに生まれる。
 
散文、随筆、詩などを書く多作家であるが、一番有名なのは『ガリバー旅行記』であろう。
 
この「ささやかな提案」は、『ガリバー旅行記』初版発行から3年後に発表された。
 
内容としては、アイルランドの人口・貧困問題に対して、子供を食えばいいという、ささやかでない提案がなされている。
 
子供一体あれば、知人を招いての会食なら料理が二品出来る。家族のみの食事であれば、頭や尻の四分の一でまっとうな一品になろうし、若干の塩か胡椒で味付て茹でれば(特に冬は)四日目でも十分美味であろう。
 
なんとも、狂気に満ちているが、こんなのをくそまじめに書いている。
 
こんな状況にまで来ていて、しかしなんにも手を施さない政府に対しての怒りというより皮肉である。
 
 
 
 
 
2. 死すべき不死の者(The Mortal immortal)/メアリー・シェリー(Mary Shelley)
 
 
 
メアリー・シェリー(1797-1851)。
 
夫は、詩人のパーシー・シェリーだが、彼女の『フランケンシュタイン』が有名すぎて霞んでいるのがなんともかわいそう。
 
SFの祖とも言われるメアリー・シェリーだが、本作も一応その部類に入ると思う。
 
内容としては、ある科学者に仕えていた男が、バーサとの恋をあきらめようと「恋の病を治す媚薬」を飲んでしまう。
 
が、縁が切れるどころかその恋は成就してしまった。
 
男は「不死の薬」を飲んでしまっていた。
 
老いる妻と、若さを保つ夫。
 
嫉妬されながらも生き続けた(る?)男の話。
 
フランケンシュタイン』を読んだことはないけど、映画の冒頭付近だけ観たことがあって、あの時感じた不気味さを、本作を読みながら感じた。
 
 
 
 
 
3. 信号手(The Signalman)/チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)
 
 
 
ヴィクトリア朝時代を代表する文豪、ディケンズ
 
代表作は『クリスマス・キャロル』とか『二都物語』とか。だと思う。
 
まぁ、どっちも未読なんだけど……。
 
訳者曰く、
 

「信号手」はまぎれもない傑作

 

らしい。

 

あらすじ?としては、信号手ととある男が「「おーい!そこの人!」と言って左腕で顔を覆って、右腕を振っている」動作に翻弄される話。

 

こんなんじゃ伝わらないと思うけど。

 

兎に角ただただ気味が悪いし、読後もいい感じじゃない。

 

でも、引き込まれて、ページを捲る手が止まらない。

 

傑作というのは間違いないと思う。

 

 

 

 

 

4. しあわせな王子(The Happy Prince)/オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)

 

 

 

オスカー・ワイルド、1854年にアイルランド・ダブリンに生まれる。

 

代表作は『ドリアン・グレイの肖像』。

 

唯一の長編小説で、過去3回映画化されている。

 

直近が2009年だけど、日本未公開らしい。残念。

 

知らないわ、と思ったけど知らなくて当然?だった。

 

本作「しあわせな王子」は、自己犠牲の物語。

 

王子は、自分の両目(サファイア)、剣の装飾であるルビー、体の金箔を貧しい人に与えている。

 

けど、その王子の使者的役割を果たしていたツバメもなんだかんだ自己犠牲を払っているように思う。

 

ツバメはもともとエジプトに発とうとしていて、たまたま王子の足元に寝床を見出しただけだった。

 

仲間はエジプトに発ち、また冬も近づいてきて暖かいところへ行きたいのに王子の頼みを聞いてあげる。

 

おい。王子我が儘だな、と思った……。

 

子供向け短編らしいけど、侮るなかれ。

 

 

 

 

 

5. 猿の手(The Monkey's Paw)/W.W.ジェイコブズ(W.W. Jacobs)

 

 

 

ジェイコブズの名前は聞いたことないかもしれないけど、「猿の手」の話なら知っているかもしれない。

 

インド帰りの軍人から3つの願いを叶える「猿の手」を譲り受け、一つ目に200ポンド、二つ目に息子の復活を願う。

 

三つ目の願いは何だったのか論争があるらしいけど、ラストの部分は緊迫感が伝わってきて、思わず玄関の方を見てしまうと思う。

 

最後の静寂が何とも言えない悲しさを醸し出している。

 

 

 

 

6. 謎(The Riddle)/ウォルター・デ・ラ・メア(Walter de la Mare)

 

 

 

児童文学作家であると同時に、朦朧法を用いた怪奇小説家としても名を馳せる。

 

祖母の家で暮らすことになった7人の子供たちが、近づいてはいけないと言われていた樫の箱の中に一人ずつ消えていく話。

 

最後の一人が消えてしまった後は、文を短く区切って表わしていて、おばあさんの弱り具合と一人になってしまった寂しさが表れてると思う。

 

 

 

 

*****

ほんとは、全12篇そろってから投稿しようと思っていたけど、結構長い?からとりあえず前編として投稿。

 

 

ジョナサン・スウィフト他、柴田元幸編訳(2015)『柴田元幸翻訳叢書 ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』スイッチ・パブリッシング