猫も杓子も。

わかりあえない、なんて知ってるわ。

顔も思い出せない。

 
もうだいぶ前の話。
 
 
 
3年ぶりに映画館に行って、岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観てきた。
 
 
 
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まず、なぜ3年ぶりに映画館で観た映画が『リップヴァンウィンクルの花嫁』だったのか。
 
公開前に某新聞社の夕刊にインタビュー?が載っているのを読んだんだけど、「リップヴァンウィンクル」て言葉の響きとか、口にしたときの感じとかが気にいってしまったため。
 
すげーわかりにくい(笑)
 
も一つが、黒木華さんが出ているってこと。
 
初めて知ったのが、去年やっていた『天皇の料理番』ってドラマ。
 
佐藤健演じる秋山篤蔵*1の妻、高浜俊子を演じていたのが、黒木華だった。
 
それまで全然知らなかったのに、このときに気に入ってしまった。
 
ドラマの間に流れていたりしたノンアルコールビールのCMも良かった。
 
あ!いま、wikiを見てたんだけど、銀の匙南九条あやめもやってるんだね。全然想像できない……。
 
まぁ、そんなこんなで、「観たいな」と思い、映画を観てきた。
 
ちなみに、原作(?)も読んだので、少しごちゃ混ぜになっているかも。
 
あと、以下ネタバレあり。
 
 
 
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最初、七海と鉄也の待ち合わせのシーンから始まる。
 
ポストの横で、控えめに手をあげ、鉄也に合図を送る七海。
 
この、控えめに手をあげて、周りをきょろきょろするシーンは私のなかでは印象的なシーン。
 

お見合いサイトで彼氏を見つけた。

なんかあまりにも、あっさり手に入ってしまった。

ネットで買い物するみたいに、あっさりと、ワンクリックで。

本当にこんな出会い方でいいのだろうか。

彼にとっても、私はあっさり手に入ってしまった女ってことになるのだろうか。

 

このまま、とんとん拍子でことは進み、七海と鉄也は結婚をした。

 

けど、上手くいかずに。

 

このあと、結局二人は離婚をする。

 

家を飛び出し、知らない街を彷徨ったあと、結婚代行サービスで知り合った安室(綾野剛)を頼り、その紹介で真白(Cocco)と暮らすことになる七海。

 

鉄也との間にあったSNSは、真白との間には存在しない。

 

七海と真白とは、リアルな関係にあって、七海は、徐々に地に足をつけていく。

 

離婚の時に後腐れなかった七海は、真白の死の際には、大声をあげて泣く、泣く。

 

 その後、七海は新しくアパートを借り、安室から家具を譲ってもらうシーンがあるんだけど、このときの七海は、あのとき、控えめに手を上げていた七海とは違う。

 

安室との別れ際に、大声で「ありがとうございました!」を叫ぶ。

そして、七海がベランダで青空を臨んで映画は終わる。

 

小説だと、結婚と同時に辞めた(というか、契約を切られた)派遣教師の職が、再び舞い込んでくるシーンがラストにある。

 

リップヴァンウィンクル」て、アメリカ版浦島物語らしい。

 

しばらく、非日常の世界で生きていた七海は、再び舞い込んできた派遣の仕事で、現実に帰ってきた気がする。

 

七海=リップヴァンウィンクルなのか。

 

でも、観た感じ七海=リップヴァンウィンクルの花嫁て気もする。

 

 

*1:この人が、紆余曲折を経て、大膳寮の厨司長になった。