こんな感情。
夜ご飯を食べてきた。
こないだぶりの人と、1ヶ月ぶりの人とそれ以上ぶりの人。
なか卯。
牛丼を頼んだ。
紅生姜を入れて、一口食べる。
お世辞でも美味しいと言えない。
はんぶんで食べるのがきつくなった。
それは多分、味の問題じゃない。
夏に牛丼が食べられなくなっただけ。
こないだ、松屋に行ったときも、そうだった。
私が遠いところに行ってから、食べられなくなった。
食べるより、作る方が楽しい。
作って、食べてくれる人がいたら、なおいい。
でも、全然感想なんて言ってくれない。
まずい、だっていいのに。
なのに、スーパーで買っただけのお刺身に対しては、美味しい、とか言っちゃう。
あぁ、あれ以来作ってないな。
いや、作ってるんだけど。
私だけが食べている。
向かいにはテレビ。
倍速で流れる古い映画。
字幕だけが訴えかけてくる。
味なんてわからない。
ダンディーなおじさんは一人バーで黄昏てるのに、隣の私はご飯にがっつくだけ。
ダンディーなおじさんにはマスターが静かにお酒を勧めるだけなのに、隣の私はなぜか急き立てられる。
サンフランシスコを飛び出すと、そこは香港。
所狭しと店が犇めく。
溢れんばかりの看板。
塞き止められない人、情報、バイク。猫。
至るところで、クラクション。
上海蟹じゃなくていいから、あなたと食べたい。
前菜。
一万年のパスワード。