古代史入門(4/207)
大津透2013「古代史への招待」大津透 他編『岩波講座日本歴史 第1巻 原始・古代1』岩波書店
はじめに
世界史的な共通問題=国家の成立
→日本においては、天皇制の成立と不可分。
「中国という古代文明の周縁においていかに形成されるか」
史料の少なさ。
一 石母田正『日本の古代国家』
→戦後の古代史研究最大の成果。
第1章:国家成立の要因としての国際関係
第2章:大化改新=氏姓制度にもとづく王民制から人民を地域的に編成する公民制への転換を目指した
第3章:税制の面から国家成立は浄御原令によって完成
第4章:首長制こそが第一次的、本源的生産関係
⇒「大化改新は伴造制度的秩序を否定して国造的秩序を選択し、それにより国家=領域支配を成立させた」
二 律令制研究の意義と展開
古代史研究の一つの基礎。
律令制研究は律令条文の分析が基礎。日本律令が継受法である以上、その母法である唐律令条文との比較が前提。
戦前、仁井田陞が唐令の復原を進める。
その後、池田温を中心に、日唐令の比較研究の成果が得られた。
三 天皇号と「日本」
天皇号
・堀敏一:天子に代わる号として。
・吉田孝:推古朝の為政者が、『史記』の王に代わる称号を考えさせたと言う記事を参考にした。
日本
「倭」に代わるもの。
7世紀後半では、日の昇るところ、極東と言う意味。
四 儀礼への関心と官僚制研究
儀礼研究
C・ギアツの「劇場国家論」などの文化人類学の進展により国家を、儀礼を通して一体感を、あるいは支配-被支配を確認する一種の共同幻想という視点から捉えるようになった。
王権論-宗教・文化・神話などからのアプローチ。
・早川庄八:祈年祭の班幣祭祀から近畿政権の本質に迫る
→のち、神祇祭祀を律令国家に位置づける試み。
律令官僚性研究
中心テーマ-官司研究や考選制度
・早川庄八:桓武天皇の画期性、文書よりも口頭伝達(奈良時代)
五 摂関期の国制
古記録(=日記)を用いた摂関期の官僚制や財政制度、受領などの解明
天皇や摂政・関白を中心に、公卿が連合または分担して太政官機構を中心に政治にあたる。中級貴族は受領に任じ、全国を統治。中下級貴族は中央官司にあたり、全国支配していた。
おわりに
・溝口雄三
「おおやけ」=「大きいヤケ」
地方豪族の建物であると同時に、共同体が帰依する中心
・吉田孝
「ヤケ」=経営体、と修正
共同体は首長によって代表されるという古代日本のあり方-在地首長には共同体的機能
「公-私」という切り口
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