ダブリンの夢。
子供一体あれば、知人を招いての会食なら料理が二品出来る。家族のみの食事であれば、頭や尻の四分の一でまっとうな一品になろうし、若干の塩か胡椒で味付て茹でれば(特に冬は)四日目でも十分美味であろう。
「信号手」はまぎれもない傑作
らしい。
あらすじ?としては、信号手ととある男が「「おーい!そこの人!」と言って左腕で顔を覆って、右腕を振っている」動作に翻弄される話。
こんなんじゃ伝わらないと思うけど。
兎に角ただただ気味が悪いし、読後もいい感じじゃない。
でも、引き込まれて、ページを捲る手が止まらない。
傑作というのは間違いないと思う。
4. しあわせな王子(The Happy Prince)/オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)
オスカー・ワイルド、1854年にアイルランド・ダブリンに生まれる。
代表作は『ドリアン・グレイの肖像』。
唯一の長編小説で、過去3回映画化されている。
直近が2009年だけど、日本未公開らしい。残念。
知らないわ、と思ったけど知らなくて当然?だった。
本作「しあわせな王子」は、自己犠牲の物語。
王子は、自分の両目(サファイア)、剣の装飾であるルビー、体の金箔を貧しい人に与えている。
けど、その王子の使者的役割を果たしていたツバメもなんだかんだ自己犠牲を払っているように思う。
ツバメはもともとエジプトに発とうとしていて、たまたま王子の足元に寝床を見出しただけだった。
仲間はエジプトに発ち、また冬も近づいてきて暖かいところへ行きたいのに王子の頼みを聞いてあげる。
おい。王子我が儘だな、と思った……。
子供向け短編らしいけど、侮るなかれ。
5. 猿の手(The Monkey's Paw)/W.W.ジェイコブズ(W.W. Jacobs)
ジェイコブズの名前は聞いたことないかもしれないけど、「猿の手」の話なら知っているかもしれない。
インド帰りの軍人から3つの願いを叶える「猿の手」を譲り受け、一つ目に200ポンド、二つ目に息子の復活を願う。
三つ目の願いは何だったのか論争があるらしいけど、ラストの部分は緊迫感が伝わってきて、思わず玄関の方を見てしまうと思う。
最後の静寂が何とも言えない悲しさを醸し出している。
6. 謎(The Riddle)/ウォルター・デ・ラ・メア(Walter de la Mare)
児童文学作家であると同時に、朦朧法を用いた怪奇小説家としても名を馳せる。
祖母の家で暮らすことになった7人の子供たちが、近づいてはいけないと言われていた樫の箱の中に一人ずつ消えていく話。
最後の一人が消えてしまった後は、文を短く区切って表わしていて、おばあさんの弱り具合と一人になってしまった寂しさが表れてると思う。
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ほんとは、全12篇そろってから投稿しようと思っていたけど、結構長い?からとりあえず前編として投稿。
ジョナサン・スウィフト他、柴田元幸編訳(2015)『柴田元幸翻訳叢書 ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』スイッチ・パブリッシング